Iron Steam F
朝になり、私は朝飯を作るために早く起きた。
適当にありあわせのもので朝食を作り、他の奴らが起きるまでパソコンで色々調べてみる。
ふと地図を確認しているとき、そういえばと思い出した。前に看守につけたGPSが稼働しているか確認してみた。
「まぁそうだよな。ちぇ。」
やはり反応は途絶え、悲しいことに大金がパーになった。まぁいいか。おそらくしばらくは会わないだろうし。
「おう。早いな。」
後ろからパークの声が聞こえる。
「起きたか。そのままで悪いがラウンジを呼んできてくれないか?飯が冷めちまう。」
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コアにそう言われ俺はラウンジの部屋に向かう。
眼の前には大の字で寝るラウンジ。特に俺は考えないで普通に起こす。
「お〜うラウンジよ。朝だぞ起きろ〜。」
「そいつは叩き起こせ。そんなんじゃ起きねーよ駄々こねて。」
はーんそうか。叩き起こすかぁ。
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「うぎゃーーーー!」
は?私は食事の準備の手を止める。
「何やってんだよまじで。」
急いで寝室に向かう。寝室には壁に飛ばされフックで引っ掛かった布団と、ベッドで頭を抱えるラウンジがいる。
「おいおい何やってんだか。どんぐらいの強さでやった?」
壁によりかかっているパークは、ノミを飛ばすくらいと言った。簡単な例えだが、聞いた話ではりんごにデコピンで穴をあけるらしい。
「叩かな起きねぇって言ったから弱めにやったんだがなぁ予想以上にぶっ飛んじまったなぁハッハッハッ。」
「まぁいい刺激になったかもな。」
「まぁじゃないです!い、痛いですよ!。」
痛がりつつも立ち上がりダイニングで食事を済ませ、役所に向かった。パークはあらかたやり方知っているようで、全て一任することにした。
中心の大通りを道なりに進むと、大きなログハウスが見えてきた。
衛兵が所々に見える。あれが役所らしい。
12ブロックの最北部に位置する施設は、噂によると外見とは裏腹に地下に数十階までものフロアがあり色々な情報を管理していると聞いた。
街中の隠し監視カメラで街中を見渡し、犯罪が起こっていないかを確認しているとパークが言った。
役所の入り口を入り地下への階段を下る。
地上階は木造なのに対して地下は白い壁の都市的なデザインだった。
道の奥の奥。そこは大きな受付に一人座っている謎の部屋だった。
「どのようなご用件ですか?」
受付の女性は近づく私達に質問をした。
よく見ると女性は真っ白の肌で作られている。
「よう、嬢ちゃん。アンドロイドが受付なんて珍しいなぁ。それにここは移住権のことしかやってないだろう?とっととやってくれ。」
立ち上がり普通に歩いていくが、アンドロイドはロボット以上に大丈夫なのか?AIは政府しか使用許可が出ていないはずだが。
「お客様アンドロイドとは失礼な。彼女はAIなんかではございませんよ。人間の脳みそで動いています。」
誰かが後ろからくる 。
振り向くと先には白色のスーツを着た一人の男が居た。
「でも体は機械だ。」
私がそう言うと男は笑いながらメガネを掛け言ってきた。
「ご存知ないのですか?体を改造するのと同義なんですよ。だから軍が来る心配もない。」
なるほどな。そういう体にしとけばバレてもいいわけか。
「準備ができました。」
女性はなにやら六角柱のちいさな箱を持ってくる。パークはそれをふ上下に軽く振り穴から何か棒を出した。
「3.4.9.1.4.だな。」
パークは番号を伝えると女性は紙を手渡した。
パークはその紙を開かずに私に開きなと言い回してきた。とりあえず開けて文章を確認する。
「13ブロックで子供3人に爆弾を渡し、近くの飲食店で食事をした後強盗事務所を襲撃しろ。だってさ...」
「まぁ楽だな。襲撃は俺はできないからな。お前らでやってくれ。俺はそれ以外をやろう。立場上無差別な殺しは無理だからな。」
まぁそうだろうな。警察という組織上、掟を破ることは重罪だし断罪されるだろうな。
「じゃぁ簡単な偵察とか指示を頼もうか。間接的だがバレなきゃいいだろう。」
私はもう一度紙を見た。こんな簡単だとは聞いていない。なにか恐ろしいことが起こる予感が私はしていた。
私達は役所を出て12ブロックの城壁を抜けた。そしてパークの車に乗る。向かう先は13ブロックの東部。与えられた任務さえこなせばいいだけだ。
13ブロックの中央駐車場で降り東部へ向かう。
隣のブロックということから10分もたたずについた。
「こっからが東部だな。任務通り行うとしよう。パーク指示いけるか?」
パークには近くのビルの屋上へ行ってもらい、屋根伝いに指示をしてもらうことにした。
「いいぜ。近くに小学校がある。そこの周辺で渡せるだろう。小さいからプレゼントと間違えるだろうな。」
指示された地点へ向かい私は一人の子供に声をかけた。
「き、君。ここの学校の子かな?担任の先生にこれ渡してもらえるかな?」
突然陰から話しかけたせいでびっくりしてしまい、男の子は泣きそうな顔をし始めた。まずいな…
「ほら!お菓子もあるよ!これで渡してくれる?」
いい感じにラウンジがフォローしてくれた。
あのお菓子好きが大事な菓子をあげるなんて…
そのあと二人に同じことを頼み菓子を渡した。
案の定お菓子が少なくなりラウンジは悔やんでいた。まぁおかげでうまく行ったことだし後で菓子でも買っておけばいいか。
次にレストランへ。パークも一緒に入り食事をする。
「とりあえず2つ終わったが、次が問題だな。強盗系とは触れ合ってないからな。」
「まぁそうだな。簡単に言うと強盗系といっても今までの経験上そんなに重武装なのは見たことねぇ。調べた限りでもあってもでかい武器はガンランスぐらいだな。」
こういう時にいてくれると助かるな。経験があるからわかりやすい。
「客と見せかければいいか?」
それに対し、エビを突き刺したパークが少し唸って言った。
「それがあそこは電話でしか受け付けてねぇからなぁ入るときが問題になるんだよ。まぁ正面突破でもいいが。」
しばらく考えた結果普通に平然を装って行くことにした。間違えた体ならいいだろうということだ。
レストランを出て今度は西部に向かった。
13ブロック西部はほぼ裏路地だ。風俗からヤクザまでいろいろ。
人々は歌舞伎街なんて呼んでいる。そこの外れのビル丸々が今回のターゲットだ。
もしすべてのフロアが使われているなら最低30人以上はいるだろうな。ラウンジは緊張しているが、今回はあいつの戦いを見るチャンスでもあり、武器の本当の力を見る機会でもある。
ラウンジを前に立たせよう。
私はラウンジにスカーはそう死なないと言い、入り口に入った。
見かけは普通のビルの内装で、受付と待合席のあるエントランスだった。
ただ受付がいないだけ。まぁ上層階だろう。ガスマスクを身に着け階段に行く。
この辺の輩なら平気で毒ガスを使ってくる。大企業顔負けの技術が溢れかえっているから、弱小でも気をつけなければ命取りになる。
上から話し声が聞こえる。上を見つつ階段を上がっているとき、誰かが声をかけた。
「貴様ら誰だ?」
眼の前には少し大柄の男。手には両刃のメイスを持っている。
「すみません。受付がいなかったものでして。どこで受付を済ませればいいですか?」
その瞬間左手で殴られた。
「てめぇなにもんだ。ここは遊び場じゃねぇんだぞ。」
すると声を聞いたのか上から数人の足音が聞こえる。もうやるしかないか。ボスの近くで暴れたかったがしょうがない。
私は剣を取り出し鞘から抜いた。
前は鞭だったが、今回は高熱の槍に姿を変えすぐに男に突き刺した。やっぱり便利だな。
「ラウンジ、階段を登るぞ。後ろから上のやつを撃ち抜け。行けるだろ。」
ラウンジにそう伝え階段をのぼる。槍なら突き刺せるし前に構えるだけで威嚇になる。
ビルの5階。少し広いところに出た。そこは多くの荷物がおいてあった。荷物というより略奪品だな。
武器や鎧、女性物の下着や鞄が大量に置いてある。
向かいのドアから上の階に行けるようだった
私達が広場の中を通り、進んでいると
「カモが来た見てぇだな。」
正面から声が聞こえた。