Memory of Your Voice Rust
【声の記憶】
気がつくと、見覚えのある路地に立っていた。後ろを振り返ると、ただ壁が寂しくおいてある。冬の寒さが肌を刺激し、夕方の商店街の隅で少し立たずんだ。僕はそこから動き出し抜けだすと、そこは親子が行き交う商店街。安堵と寂しさが胸を埋め流れない。僕は、周りの景色を眺めていると走り出した。向かっているのは家。図書館で思い出した目的。母さんと父さんがいなくなった理由。
まるであの時の時間が遅く流れていたかのように此処の時間は早く過ぎるように感じられた。ごく一般的な住宅街にある僕の家に着き扉を開ける。目の前には誰もいない静かな空間が待っていた。階段を上がる。二階は閉ざされ使われなくなった部屋が一つ。正面を通さんとばかりに立っている。誰もいない部屋の一つに入る。たった一つ、ノートが開いて転がっている。そこにはいつ残して、いつ知ったのか。いなくなった両親のことが書いてあった。日付は12月25日。サンタからの最悪のクリスマスプレゼントだった。もう、やり残すことはなかった。知っていた結末なのに、胸を締め付け現れる。時刻は5時を過ぎようとしている。その時、誰かが家に帰ってきた。ノート達をまとめ玄関に向かうと、そこには久しぶりに見た茶良がいた。暗い顔をしている。僕は階段を降り茶良の正面に立つと、「話をしたいな。」とだけ言い、ダイニングに行った。
しばらくして茶良がジュースを入れて椅子に座った。
一瞬話そうかためらったが、母さんの言われたとおり、すべての出来事を何も隠さずに話した。いなくなった理由。僕が図書館で体験し、最後に母さんと父さんにあったこと。途中から茶良は、泣きすぎて目が充血している。そしてすべてが話し終わったとき、突然涙を拭った妹がこういった。
「うん…わかった。」
彼女は二階に上がると部屋から凄い物音がしたあとに、静かになった。涙をためた僕の目は、今にも溢れんばかりに漏れ出している。僕は夜ご飯の支度など、一連の動きをした後、この出来事を忘れないようにノートに走り書きを残したあとに寝ることにした。
あの日から、なにもかもが普通の生活に戻り、そしてあの場所の記憶はもう、モヤがかかって鮮明に思い出せない。いつ書いたのかわからない紙にあった断片的な言葉を頼りに、空き時間に図書館について調べていた。ネットで調べてはいるものの、そこでは関係のない物ばかりが転がっている。わかっていながらも、僕はあの日の光景を信じて調べていた。
戻ってきてから3週間たっただろうか。昼にパソコンを見ていると、一つメールに通知が入っていることに気づく。タイトルはなし。迷惑メールかなと思いつつ、とりあえず開いてみると、一つの音声メッセージが入っていた。僕はなんとなく再生してみる。
東京都渋谷区路地裏
ノイズのかかった短い音声。たったそれだけだった。他には何もない。本当にただの迷惑メールかと思いすぐに消そうとマウスを押したとき、ふと音声の最後に何かが聞こえた。もう一度再生する。一番最後にノイズに混じったもの。一瞬だったが鮮明に聞き取れた。
*EFU*
その言葉には見覚えがあった。そして僕はしばらく沈黙し、そしてにわか雨のように財布とかばんを持ち下に駆け降りる。
「お兄、どこいくの」
茶良がびっくりしたようにこちらを見た。
「ちょっと思い出の場所に行ってくるよ。」
僕は乱暴に靴を履き、扉を開けた。
そう遠くはない。この送り主は間違いなくエフさんだった。あの図書館の記憶、あの声が教えてくれた。
ちょうど来た電車にのった。休日の昼間の電車は親子連れや学生で少し混み合っている。ぼくは落ち着かない気持ちで外を眺めていた。すると後ろの若い人たちの会話が意識もしないうちに入ってきた。
「知ってるか?こんな都市伝説 …」
一人の男がこんなことをつぶやく。
「は?(笑)都市伝説なんて信じてんの?あるわけ無いじゃん」
もう一人の声がそれを反応する。
「いやそれがさ、実体験らしくて、ある路地裏のめっちゃ奥に行くと喫茶店があるらしいんだけど、その喫茶店。別の日に行くとなくなってるんだってさ。しかも跡形もなく店があった雰囲気すら無いんだってよ。」
やばそれ。っともう三人目がいうと
「っでさその喫茶店は蒼髪の長身の男と茶ぱつの女子と金髪でパーカーのJKが働いてるんだってよ笑」
笑いながら男はいっている。が、こちらは確信をついていた。
その後までは聴き取れなかったが、確実だった。彼らはこの世界にいる。
僕は駅につくと走ってその路地を探した。ありそうなところを虱潰し探した。ビルの間から、ちょっとした路地まで。だが、いくら探してもまず入り組んでいるところすら見つからない。都会の眩しさが余計に捜索を邪魔した。
僕は公園で途方に暮れていた。本当にただの都市伝説で、僕は嘘の幻夢を見ていただけなんじゃないか。と思い始めていたとき、携帯がなる。
「渋谷区……320
僕は諦めたくなかった。もういちど、感謝を言いたかった。だから探した。どこまでもそしていつまでも。
そして日が少し赤く染まり始めたとき、
「おい、てめぇ。なんでここいんの?」
気づくとそこは使われなくなったような建物の中だった。
そして目の前には数人の男と一人の女が立っていた。疲れていた僕は何も返せず、引き返そうとしたとき、何処なのか考えるまもなく棒で僕を殴った。
衝撃で倒れ込む。男たちは笑いながらその後も蹴られたり叩かれたりした。それは止むことなく、僕を痛みつけた。頭が真っ白になり、何も考えられない。
(もう、しぬのかな。エフさん達ごめんなさい。)
その時僕の中で何かが語りかけてきた。
それはあの世界で僕をさんざん苦しめて、そして戦い、最後に協力したきたあの声 。
鎌の主だった。
「みんな待ってるよ。ほらまた意識を奪って暴れちゃうけどいいの?あのときのお前は勇敢で強かったじゃんか。あのときの覚悟はどうしたんだ?」
その時急に口角が上がる。
そして心の小さな火種に油が注がれた。
「ふざけんなよ...これ以上待たせたくねぇな。」
血に濡れた口を手で拭うと、僕はその手で
鎌を持つ形にして想像する。
あのときの感覚で。決して揺るがない覚悟を背負って。
すると、手から大きな金属の鎌が現れる。
立ち上がった僕を見てゲラゲラ笑っていた男たちは、このことに驚き、笑いがなくなり一歩また一歩と後退りしていた。
僕は状態を前に向けると、身体は純白のローブに身を包む、あの頃の形になっていた。
あの場所で食事人と戦い、そして執行者を止めた。時の表情が戻った。
アイツらはまた襲ってきたが僕の中で遅く感じていた 。全てをかわしたあと、僕は鎌の柄で男の胸部を強打しなぎ倒す。それを見て一人の男がポケットから銃を取り出す。
「化け物が!こいつで死ね!!」
その瞬間全て発泡した。太陽で輝く鉛玉が向かってきた。が、僕は六発すべて弾き返し、主を同様に鎌の柄でなぎ倒した。
すると他の男と女は逃げ、僕は装備をしまった。
「まだ使えたんだね。これ。ありがとう。」
しばらく疲れで動けなかったが、何とか立っていた。口からは血が。もう、戦った感覚はなくなり、目からは涙と感情が流れていた。
「こうしちゃいられない。」
そしてあの座標まで走って向かった。何度も何度も転びそうになって。人にぶつかって。
でも僕は負けない。あの場所に行くのだから
どれぐらい走ってどれくらい時間が立っただろうか。もう体中の感覚がなくなっている。水分が尽き、息もほぼしていなかった。その時微かなコーヒーと紅茶を混ぜた匂いを感じた。そこは路地裏前だった。僕は止まった。
「見つけた...」
ここがメールの場所。そして異世界への廊下。
かすれた声だったが生気はあった。
一歩だけ踏み入れる。温かい空気が侵入した足を包み込む。思い切り中へ全身を浸すと力がこきあげてきた。
あの頃の手の感覚。そして鼻を香らせるコーヒーと心を温める紅茶の匂い。そして何より記憶が感じられる。
そしてしばらく道並みに進むと、太陽の光が入ってこない所に灯りがついていた。あの暖かさ。
僕は扉をあけた。僕のフィナーレの先。エンドロールあとの満たされた空間に入り込んだ。
「いらっしゃい。ファイルくん。よく来たね。」
「ファイルくん久しぶりだね。」
「ファイルじゃん、この場所わかったんだな。」
「ファイル!来てくれたのかよ!」
それら声の持ち主を見るまでもなく
僕はすべてを思い出し、そして涙で顔を満たしていた。
「これが、彼の夢のようなありえない話。本当にこんなことがあるんでしょうかね?ある路地の最奥に、一つの灯りが冷たい空気を温めているところは、本当にあるのでしょうか。」
「あ、申し遅れました。私…
ルドルフ・エフ、と申します。この図書館の館長しています。おや?そんなに驚いてどうしましたか?えぇ、そうですね。もしかしたら、
お客様もここには一度足を踏み入れているかもしれませよ。
では、この物語はおしまいでございます。
ご来館ありがとうございました。」
終わり。
あとがき
なんやかんやで終わらせましたこの物語。意外と時間がなくてカタカタできなかったせいで、すごい時間がたってしまいました。この物語は、初めて小説的なことをしようと思いましてやったことですので最初の方は非常に拙い構成でした(笑)。
ですが、いろんな本をいろんな機会で読んでいくうちにたぶんうまくいなったなと思う節もございます。
私自身物語というより、論説文ですとか、戦史の本ですとかそういうまったく違うジャンルを好んで読んでいましたので、難しかったです。
別に執筆で食べていこうとは思っていませんですし、本当にただの思い付きですので、
クオリティの面では非常に劣っていますけど、この物語を読んで私だったらここはこういう風に考えるなとか、ここの場面いいなとか想像力を掻き立ててもらえたらと思います。
長い間ありがとうございました。告知にはなりますが、わたくしが夢で見た内容を文章にしているのが実は一つや二つありまして、もしかしたら夢の着色してお届けするかもしれません。
ということでこの物語はおしまいです。少しでも読んでいただきありがとうございました。
embii