Memory of your Voice Ⅰ

【第一節:節の始まり】
「うわーーーっ!」

 純粋な空気に不純物が混ざりこむ。

冷えた空気と遠のいた意識がどんどん僕を奥へ奥へと僕を引きずり込む。
ボスッ、暗黒の広がる空間に鈍く混じった音が響く。
手をつくと、冷えた地面が出迎えた。
「う…いったー…え?ここどこ?」

腰に響く衝撃とともに口が開く。
そうさっきまでは街を歩いていたのに、気づいたらこの空間に落ちてきていた。あたりを見渡す様に首をひねる。見渡しても何もなく、ただ静寂だけが僕を包んだ。手すらよく見ないと見えないくらいの暗さ。風がなくただただ虚無の世界が広がっているだけ。
だが…

「あれ、灯りじゃないか?」

絞り出して振動として発現した言葉。目を細めよく見ると、そこには木漏れ日のように弱く遮られた光があった。暗いからこそわかる、そんな光は希望を与えた。

 「いってみよう光があるなら何かあるかもしれないし。」

 さっきまで怯えていた心が少しずつなごんでいく。そして重いからだを起こし、体に異常をがないかを確認した後、光に導かれるように歩み始めた。 コツコツ、スニーカーであっても足音がわかるくらい静かな空間。なにも遮るものがなく、僕以外の不純物はないように思える。僕はこの時感じた…本当に

『無限に続いているかのようだった』

 

光の下に行くとそこには、小さく古びている階段があった。階段を降りると道が続いていた。その道をすすむと、少し開けたところに来た。しかし、その先には大きな扉があった。それは明らかにこの世にあるような扉ではなかった。まるで漫画に出てくるような大きな扉。鉄の枠に木がはめ込まれているいかにも中世の扉。

 「お、おおきい…」
困惑と驚愕が混ざり微妙な感じになる。僕は扉に近づき触れる。木の温かさと圧迫感それを感じ、扉を押す。そのときだった。
これが僕のあり得ない話。この星に縛られた僕がみた物語。

「いらっしゃいませ。ようこそ図書館へ。」

 扉を押した同時に、押し返されるように扉が開き人影が光に映った
眩しさに目が明けられずに眼を背けた。